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口腔装置(1)
軟口蓋挙上装置(PLP)・バルブ付き装置(Bulb-PLP)の紹介

正常な軟口蓋運動

軟口蓋挙上装置(PLP)

ことばを話したり,食物を飲み込むときには,軟口蓋を持ち上げて口と鼻を分離しています.様々な原因(脳卒中,外傷性頭部障害,等)で,軟口蓋の運動が低下した状態(口蓋帆咽頭閉鎖不全症)鼻咽腔閉鎖不全症とも言います.VPIと略します)になると,発音時に声が鼻に漏れて言葉が不明瞭になったり,食物が鼻に入って上手くのみ込めなくなります.この状態になると,通常の社会生活が著しく障害されます.

VPIによる「ことば」や飲み込みの問題は訓練だけでは解決できず,運動性の低下した軟口蓋を,適切な高さまで物理的に持ち上げて,口と鼻とを分離する必要があります.この軟口蓋を持ち上げる装置が,右に示す軟口蓋挙上装置(PLP:Palatal Lift Prosthesis)です.

右側舌咽神経腫瘍(画像では左側)術後の内視鏡で見た咽頭部.下が前方.右側で閉鎖できていない
Bulb-PLP

 一方,軟口蓋腫瘍や咽頭癌の術後,舌咽神経腫瘍切除後等には,軟口蓋が短くなる場合があります.この場合にはPLPは奏効せず,短くなった軟口蓋の欠損量を補う必要があります.手術的に他の部位から筋肉や粘膜を移植しても軟口蓋は動きません.この場合には,残存する正常な筋肉や組織の運動によって閉鎖できない部分を,PLPの後端に作成したバルブ(栓塞子)で閉鎖します.この装置を,バルブ付き装置(Bulb-PLP)と呼んでいます.基本的にはPLPとよく似た装置になりますが,栓塞子は,内視鏡検査を行いながら,段階的に完成していきます.

右の写真がBulb-PLPです.上図のPLPの挙上子の後端にバルブがついていることがわかります.

口腔装置治療の特徴

話し言葉の明瞭度が上がります

PLPの挙上子(尻尾の部分です)やバルブが,鼻と口を分離して正常な関係にするため,発音時の呼気が鼻に漏れるのを防ぎ,効果的に口から発声できるようになります.そのため,言葉の明瞭度があがり,良好にコミュニケーションがとれるようにることで,生活参加が容易になります.

言語治療の効果が増強されます

健常者(左)と閉鎖不全例(右)での
口蓋帆挙筋活動の相違
最大努力でのblowingでの筋活動を
100%とすると,speechでの筋活動が
閉鎖不全例では70%以上になり,
疲労しやすくなります.

Kuehn DP, et al.: JSHR, 37:1260,1994.
Kuehn DP,  et al.: CPCJ, 32:376,1995.

言葉の発声に不自由がある場合,一般的に言語聴覚士による機能訓練が行なわれます.VPIの状態のままで訓練した場合,軟口蓋を持ち上げる筋肉(口蓋帆挙筋)が疲労することが明らかになっています.

一方,軟口蓋をPLPで持ち上げると,口と鼻を分離する上で必要な軟口蓋の作業量(挙上量)が少なくてすみ,口蓋帆挙筋の疲労が抑制されます.そのため,言語治療時の筋疲労による訓練効果の低下を防止でき,訓練効果を増強できます.

すなわち,患者さんだけでなく,言語聴覚士さんのためにもメリットがあります.

T.Tachimura: Evaluation of fatigability of the levator veli palatini muscle during continuous blowing using power spectra analysis. CPCJ, 41,320-326,2004.

咽頭ならびに軟口蓋の運動機能を増強できます

上下総義歯の方に装着した
特殊なPLPです

筋疲労が抑制されることで,連続的な構音訓練が可能になります.その結果,口蓋帆挙筋の筋力は高くなります.個人ごとの機能の変化を評価しながら,様々な装置を作成し,経時的に調整して,軟口蓋の運動機能を増強し,最終的には外せるようにします(一部の患者さんでは,小さくなった装置の装着を必要とする場合もあります).

現在,構音訓練を受けていて,機能改善が芳しくないと感じられている場合,担当の言語聴覚士さんとご相談ください.

口腔装置治療の流れ

軟口蓋挙上装置(Palatal Lift Prosthesis)やバルブ付き装置は,何らかの原因で軟口蓋を挙上できなくなった場合や軟口蓋が短くなった場合に有効です.脳血管障害,ALS等の神経疾患で軟口蓋の挙上が困難になった場合にはPLPを用い,軟口蓋腫瘍や神経腫瘍で軟口蓋が短くなった場合にBulb-PLPが適用になります.似たような形状の装置ですが,適用症を見極めた上で作成することが必要です.

したがって,治療の開始は,機能評価によって装置が適用になるかを判断した後に開始します.

お問合せ

まず,メール(touch_clinic@office.eonet.ne.jp),お電話(072-743-9063),FAX(072-7421-0448),フォームにてご連絡ください.お問い合わせをいただきましたら,可及的早期に当方よりご連絡いたします.この段階でお困りのことの大まかに把握して,来所いただくアポイントメントを採らせていただきます.

初回来院時

初回の来院にて,問診,視診,等により障害の確定診断を行います.場合によっては,内視鏡(右図)で検査いたします.言葉の問題の場合には,専属の言語聴覚士による評価も併せて行います.

この際に,現在の主治医の先生,リハビリテ-ション担当者さんからのお手紙がありますと助かります.

検査結果に基づいて,口腔装置治療と口腔機能リハビリテ-ションの併用療法か口腔機能リハビリテ-ション(構音治療/嚥下リハビリテ-ション)単独での治療かの検討に入ります.初回での診察で決定できる場合には,初診時にご契約いただいても構いません.後日にお返事をいただいてもかまいません.

治療開始-口腔装置の作成開始

ご契約をいただいた後,口腔機能リハビリテ-ション単独の場合には,来院していただいて訓練を受けていただくか当方からお伺いするかを決めさせていただきます.両方を併用することも可能です.

口腔装置治療が必要な場合には,装置作成のためのお口の型採り(印象採得と言います)を行います.装置の設計を行い,完成までの流れについて説明させていただきます.おおよその流れを右巣に示しています.

装置の装着の上で歯科治療が必要になる場合にはかかりつけ歯科医の先生に治療をお願いする紹介状を作成いたします.

リハビリテ-ションの開始

装置治療の場合,初回の装置(口蓋床と呼んでいます)を装着していただきます.問題なければ,同日に床装置の後端に第一段階の挙上子を作成いたします.その後,約2週ごとに来院頂き(場合によっては訪問いたします),延長していきます.この間,専門職が作成したリハビリテ-ションの課題をこなしていただきます.

装置完成までの過程で複数回の検査を行います.検査には,機器を用いる検査と専門職による機能回復・賦活の評価が入っています.検査結果に応じて,装置の効果部の調整を行います.

装置完成後の経過観察とリハビリテ-ション

装置完成後に定期的にリハビリテ-ションをうけていただくか担当のリハビリテ-ション職の方と情報交換しながら機能回復を行っていきます.

装置は完成後のままではなく調整が必要です.この調整には,機能の回復に応じて装置を撤去できるかの評価も入っていますので,定期的な受診をしていただきます.定期的に課題をお渡しいたします.

口腔内装置治療の料金表

軟口蓋挙上装置 PLP(Palatal Lift  Prosthesis )

250,000円
Bulb-PLP(ハイブリッド型バルブ付きPLP) 275,000円

口腔の状態や機能障害の程度により各装置の完成までに要する期間や料金は変わります.基本的には,装置治療の料金は,完成までに必要な口腔の型採り,研究模型作成,装置設計,装置作成,仮装着,仮装着後の調整までの料金,内視鏡検査を含む種々の検査料,初期訓練プログラムの構成料,等をすべて含んだ料金です.

軟口蓋挙上装置PLP
Palatal Lift Prosthesis
ハイブリッド型バルブ付きPLP
Bulb-PLP
口腔装置の調整料

ここでは装置完成後の調整サービスの料金についてご案内いたします。

簡 単

  • クラスプ(バネ)調整
  • 口蓋床の部分的な破折
  • ひびの補修 
10,000円
複 雑(A)
  • 内視鏡検査が必要な形態変更
  • 破折クラスプ(バネ)の修理(蝋着)
  • 保存してある効果部(軟口蓋部)のコアを用いて製作する場合
15,000~25,000円
複 雑(B)

基本的に印象(お口の型採り)が必要な場合

  • クラスプの新規製作
  • 口蓋床もしくは軟口蓋部の大幅な補修(旧装置のクラスプや他の部分は保存できる場合)
50,000円

不明な点がございましたらお気軽にお問合せください.

口腔装置治療を利用された事例

舌咽神経鞘腫切除後の嚥下障害,開鼻声,構音障害が原因での
早期リタイヤを回避したい

某自動車会社工場長の愛知県在住 SIさん(男性 55歳)

忘年会帰りに転倒し,救急病院に搬送された後,舌咽神経,迷走神経に神経鞘腫が確認され,翌月神経鞘腫切除術が施行されました.術後,声帯,喉頭,軟口蓋の麻痺が生じ,嚥下時の鼻腔漏出と誤嚥により鼻からの栄養チューブ(NGチューブ)の留置が必要となりました.また気管切開後に気管カニューレの装着が必要となり,コミュニケーションが困難になり,早期の退職か職場の異動を勧められました.工場長として仕事を精力的に行っていたことから,嚥下障害と音声言語機能の回復を求めてかかりつけ神経内科医よりの紹介で来院されました.

内視鏡検査,音声言語検査により,軟口蓋が神経支配が失われたことにより短縮していることによって生じた口蓋帆咽頭閉鎖不全症が原因で,開鼻声,嗄声,構音障害が生じていることが明らかになり,短縮化した軟口蓋の運動を補完するためにBulbPLPを作成しました.その後定期的に構音訓練と摂食嚥下リハビリテーションを行い,完全ではないものの経口摂取が可能になり,嗄声については完全な回復は難しい状態であったが,言葉でのコミュニケーションが可能になり,現在の職場での仕事を継続できるようになった.その後に周辺臓器の代償機能によりバルブを小型化することができた

脳血管障害後の開鼻声と構音障害のために会社の存続に支障が生じていた.言葉の問題を解決してほしい.

三重県で製造業を営む63歳男性,MKさん.会社社長

脳血管障害後の構音障害と開鼻声による音声言語障害のために,社員への指示や得意先との商談が困難になった.発症から2年経過時に受診.音声機能検査,内視鏡検査によって重度の口蓋帆咽頭閉鎖不全による著しい開鼻声と構音障害と診断し,PLP装置の作成を開始しました.

装置装着に必要な歯には問題がなかったため,初診後1.5か月でPLPが完成しました.地元のかかりつけ病院の言語聴覚士に装置装着者用の構音訓練プログラムを提供し協力をお願いしました.PLP装着しての訓練により再びコミュニケーションが可能になり会社経営に復帰されました.定期的評価により,2年後に装置は撤去できました.

いかがでしょうか。

このように、舘村歯科クリニック・TOUCH口腔機能回復室でのBulb-PLPやPLPを用いることで,多くの音声言語障害や摂食嚥下障害の大きな原因である口蓋帆咽頭閉鎖不全症(いわゆる鼻咽腔閉鎖不全症)の改善が期待できます.もちろん,装置を装着するだけでは良い結果を得ることは困難であり,リハビリテーションを担当される専門職との連携が必要であることは,他の運動機能リハビリテーションと変わりませんが,装置がない状態での訓練が筋疲労による障害の固定になることについては,当法人代表の筋電図学的研究で明らかになっています.

口腔内装置治療ならびに口腔機能療法に興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問合せ・ご相談ください。

最後まで読んでいただき,有り難うございました.

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