嚥下障害・言語障害・鼻咽腔閉鎖不全などのリハビリなら大阪の
舘村歯科クリニック・
TOUCH口腔機能回復室
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食事の時に飲み込みづらくなった,むせることが増えた,水分の摂取が不自由になった,食事が喉にひっかかるようになったということはありませんか?このようなことでお悩みではないでしょうか?
中には病院で「口から食べることはあきらめてください」と言われたが何かを食べさせてあげたい,という御家族もおられます.本当に完全に諦めないといけないのでしょうか?
口から食べるための訓練の可能性を考えてみるのも必要かもしれません.
まず,どのような状況であっても必ず行うべき3つのキーフレーズがあります.
窒息を防ぎ,誤嚥を防いで安全に口から食べるために必要な3つのポイントがあります.
安全快適に嚥下するためには,右図の喉頭蓋(舌の奥に付いている蓋)が後方に転倒して,気管の入り口が閉じられることが必要です.
喉頭蓋が上手く後方に転倒するためには,喉頭蓋が靭帯で接続している喉頭(いわゆる喉仏)が上前方に挙上することが必要です.
すなわち,喉頭の運動が抑制されると喉頭蓋での気管口の閉鎖が上手く行かずに誤嚥したり「むせ」たりします.喉頭運動が抑制される原因の中で一番多いと思われるのが,「姿勢」の問題です.
良好な喉頭運動のためには,「うなずき」が必要で,頸部がリラックスしていることです.
二つ目のポイントは,口腔咽頭機能の賦活です.すなわち,上下口唇の気密な閉鎖,舌の前後上下左右運動,下顎の前後上下左右運動,唾液の分泌が,最低必要です.
とくに適切なな下顎運動は必須です.右図は,ある筋肉が最大筋活動のどれほど使うと筋力が増加するか低下するかを示した図です.日常生活は,通常20~35%程度の筋力で行われ,35%~50%筋力を使うと筋力は増加します.しかしながら,50%以上使ってもそれ以上には筋力は増えないことを示しています.一方,70%以上使うと,疲労が生じることで継続的に運動できず,むしろ低下します.また,20%以下の筋力は,使っていても減少することもわかります.
さて,下顎の力,咀嚼や咬合の力は体重程度の大きさと言われています.「噛む力が弱ってきた」ときに,それまでの食事より弱い力で食べられる軟食になると噛む力はもっと劣ってくることがわかります.さらに,「硬い食事が良い」として,70%を越える食事になると疲労のために,却って筋力は低下します.
少しだけ頑張る食事が望ましいということです.
どのような食事が摂れるかは,舌と口唇の機能のレベルに応じて,ほぼ決まります.義歯を入れれば食べられるということではありません.右図のような総義歯を外して長期経過した男性では,総義歯を作成しても食事ができないことがほとんどです.その理由は,総義歯を外して長期経過すると,上下の歯槽が接近することで,口腔容積は減少して舌運動は前後方向に制限されます.その結果,この状態で上下の総義歯を入れると,舌が口蓋に接触しなくなり,食べ物を押しつぶして送り込むことができなくなります.
考え方の基本になるのは,年齢とは関わりなく,舌が前後方向であれば離乳初期食,すなわちドロドロ状のウィダーインゼリーのような食事,舌が前後上下に動くようになれば,離乳中期食で舌と口蓋で押しつぶすゼリーのような食事,舌が前後上下左右に動くようになれば離乳後期食のような咀嚼運動によって処理する食事です.
舌の運動方向 | 摂取可能な食事のイメージ |
前後 | 離乳初期食(例.ウィダーインゼリ―) |
前後上下 | 離乳中期食(例.舌と口蓋で押しつぶす食物) |
前後上下左右 | 離乳後期食(中期食よりも固く,咀嚼運動で処理する食物) |
この原則に従って,現在の舌運動の様相を評価し,食事内容を決定します.その後に,舌の運動レベルを向上させるために,口腔機能療法を行います.
どこに問題があるかの評価を行い,口腔機能療法のプログラムを構成してみましょう.上記した3つのポイントの調整には,さらに詳細な調整が必要な場合もあります.また,場合によっては,口腔装置を使うほうが解決が早い場合もあるかもしれません.
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